カーナビのNHK受信料は必要？最新判例と支払い義務の真実
テレビ機能付きカーナビの画面表示例
カーナビのNHK受信料、結論から言うと支払い義務はある？
「ナビ目的でカーナビを車に付けているだけなのに、NHKの受信料を払わなければならないの？」
テレビを持っていなくてNHKと契約していない方が、こんな疑問を抱えているケースは少なくありません。最近の車にはカーナビやディスプレイオーディオが標準装備されていることが多く、テレビ機能の有無によってNHK受信料の支払い義務が生じるかどうか気になりますよね。
結論から言うと、NHK受信料の支払い義務があるかどうかは、搭載されている機能や車両の用途によって異なります。
たとえば2025年3月14日には、愛媛県警が捜査用の車両に設置されているカーナビ38台について、NHKと契約を結んでおらず、受信料約644万円が未払いになったと発表しました。この事例からも分かるように、カーナビのNHK受信料問題は個人だけでなく、企業や公的機関にも関わる重要な問題なのです。
この記事では、カーナビとディスプレイオーディオそれぞれの場合における受信料契約の必要性を、2025年5月時点での最新情報に基づいて詳しく解説します。
カーナビの場合：テレビ機能があれば契約義務あり
まず、カーナビの場合について詳しく見ていきましょう。
NHK公式サイトによると、カーナビは「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当します。つまり、テレビ機能が搭載されている場合はNHK受信料の支払い義務が発生するのです。
車内に設置されたカーナビシステム
具体的には、地上デジタル放送（フルセグ/ワンセグ）を受信できる機能が搭載されているカーナビは、実際に視聴しなくても物理的に受信可能な状態であれば契約が必要です。これは放送法第64条に基づいており、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に契約義務が生じるためです。
「テレビは見ないから」という理由だけでは、残念ながら契約義務を免れることはできません。
すでに自宅でNHKと契約している場合は？
ただし、すでに自宅でNHKと契約を結んでいる場合は、カーナビ個別での契約は不要です。NHKの受信契約は世帯単位となるため、自家用車のカーナビについては追加契約の必要はありません。
これは自家用車が「住居の一部」とみなされるためです。つまり、個人が所有する自家用車のカーナビについては、すでに自宅でNHK契約をしていれば、追加で契約する必要はないのです。
カーナビでもNHK契約義務が免除される条件
カーナビであっても、以下の条件に該当する場合はNHKの契約義務が免除されます。
-
B-CASカードを使用していない（未挿入）
-
ワンセグ用のアンテナが未接続
-
地デジチューナーが搭載されていない
つまり、カーナビが放送法第64条に基づいた「協会の放送を受信することのできる受信設備」でない状態であれば、NHKと契約する義務はありません。
B-CASカードとカーナビの接続部分
カーナビを購入する際や車を選ぶ際には、テレビ機能の有無を確認することが重要です。最近では、テレビ機能がないカーナビも多く販売されているので、NHK受信料を気にする方は、そうした機種を選ぶという選択肢もあります。
ディスプレイオーディオの場合：基本的に契約義務なし
次に、最近の車に多く搭載されているディスプレイオーディオについて見ていきましょう。
ディスプレイオーディオは一見カーナビとよく似ている端末ですが、機能的にはまったくの別物です。基本的にスマホと連携した上でオーディオ再生や、『Googleマップ』に代表されるナビアプリを使うものです。
スマートフォンと連携したディスプレイオーディオ
端末自体にはチューナーが内蔵されておらず、テレビ機能はありません。よってディスプレイオーディオを搭載していても、NHKとの契約義務は生じません。
これは、ディスプレイオーディオが放送法第64条に基づく「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当しないためです。
外付けテレビチューナーを後付けした場合は要注意
ただし、ディスプレイオーディオの人気が拡大するにつれ、各社から外付け用のテレビチューナーも登場し始めています。
チューナーを後付けした場合、NHKの放送を受信できる状態になるため契約義務が発生する点にご注意ください。外付けチューナーを取り付けると、ディスプレイオーディオでもテレビ放送を受信できるようになり、「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当することになります。
自家用車と事業用車両では扱いが異なる
カーナビのNHK受信料を考える上で重要なのが、自家用車と事業用車両（社用車・公用車）の違いです。
事業用車両に設置されたカーナビ
先ほど説明したように、個人の自家用車の場合、すでに自宅でNHKと契約していれば、カーナビに対して追加で契約する必要はありません。これは自家用車が「住居の一部」とみなされるためです。
しかし、事業所や自治体が所有する社用車・公用車の場合は状況が異なります。
社用車・公用車は車両ごとに契約が必要
事業所や自治体が所有する社用車や公用車にテレビ受信機能付きのカーナビを設置している場合、車両1台ごとにNHKとの受信契約が必要とされています。
これは車が住居の一部とは見なされず、個別の受信設備と見なされるためです。つまり、会社や自治体が所有する車両のカーナビには、それぞれ別々に受信契約が必要になるのです。
愛知県警の事例：カーナビ38台で約644万円の未払い
2025年3月14日に報道された愛知県警の事例は、まさにこの問題を浮き彫りにしました。愛知県警は捜査用の車両に設置されているカーナビ38台について、NHKと契約を結んでおらず、受信料約644万円が未払いになっていたことを発表しました。
この事例からも分かるように、公的機関であっても、テレビ機能付きカーナビを搭載した車両については、NHKとの受信契約が必要なのです。
あなたの会社や組織でも、社用車にテレビ機能付きカーナビを搭載している場合は、受信契約の状況を確認してみる必要があるかもしれませんね。
最高裁判例：ワンセグ機能付き携帯電話の判断
カーナビのNHK受信料問題を理解する上で参考になるのが、ワンセグ機能付き携帯電話に関する最高裁判例です。
最高裁判所第三小法廷は2019年（平成31年）3月12日、ワンセグ機能付き携帯電話を保有する者も「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当し、NHKとの間で放送受信契約を締結する義務を負うとの判断を示しました。
この判決は、ワンセグ機能付きカーナビに関する判断にも大きな影響を与えています。
東京地裁判決：カーナビも「受信設備」に該当
さらに、東京地方裁判所は2019年（令和元年）5月15日、ワンセグ機能を有するカーナビを自家用車に装備した者も「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」に該当し、NHKとの間で放送受信契約を締結する義務を負うとの判断を示しました。
この判決は、それまでのワンセグをめぐる訴訟が携帯電話に係るものであったのに対して、カーナビに係る初めての判断だったことから、大きな注目を集めました。
これらの判例により、テレビ機能（地上デジタル放送のフルセグ/ワンセグ）が搭載されているカーナビは、実際に視聴しなくても物理的に受信可能な状態であれば契約が必要であるという法的解釈が確立されたと言えるでしょう。
NHK受信料を避けるためのカーナビの選び方
NHK受信料の支払いを避けたい場合、カーナビを選ぶ際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。
テレビ機能のないカーナビの選び方
NHK受信料の契約義務を避けるためには、以下のようなカーナビを選ぶことが効果的です。
-
テレビ機能（地デジチューナー）が搭載されていないモデル
-
B-CASカードを使用しないタイプ
-
ワンセグ用アンテナが接続されていないもの
最近では、テレビ機能がないカーナビも多く販売されています。ナビゲーション機能だけを求めるなら、そうしたモデルを選ぶことで、NHK受信料の心配をせずに済みます。
ディスプレイオーディオという選択肢
また、カーナビの代わりにディスプレイオーディオを選ぶという方法もあります。先述のとおり、ディスプレイオーディオは基本的にテレビチューナーを内蔵していないため、NHK受信契約の義務は生じません。
スマートフォンと連携してGoogleマップなどのナビアプリを利用できるディスプレイオーディオは、カーナビの代わりとして十分な機能を持っています。
ただし、後から外付けテレビチューナーを追加すると受信契約の義務が生じるので注意が必要です。
既存のカーナビでNHK受信料を避ける方法はある？
すでにテレビ機能付きのカーナビを搭載している場合、B-CASカードを抜いたり、アンテナを外したりすることで「受信できない状態」にすることは可能です。
しかし、これらの方法が法的に受信契約義務を免除されるかどうかは、ケースバイケースです。また、カーナビの機能を損なう可能性もあるため、自己責任で行う必要があります。
最も確実なのは、テレビ機能がないカーナビやディスプレイオーディオを最初から選ぶことでしょう。
企業・自治体の車両管理担当者が知っておくべきこと
企業や自治体の車両管理担当者は、カーナビのNHK受信料についてどのような点に注意すべきでしょうか。
企業の車両管理のイメージ
近年、自治体が所有する公用車のカーナビについて、NHK受信契約を結ばずに使用していたケースが相次いで発覚し、話題となっています。愛知県警の事例のように、多くの自治体や企業は、カーナビのテレビ受信機能に対して契約が必要であることを認識しておらず、結果として未払いの状態が続いていたと考えられます。
企業や自治体の車両管理担当者は、以下の点に注意する必要があります。
車両のカーナビの機能確認
最も重要なのは、各車両に搭載するカーナビがテレビ受信機能を持っているかどうかを確認することです。車両の管理者は、所有する車のカーナビにワンセグ・フルセグなどの受信機能があるかを確認しましょう。
メーカーオプション・市販品に関わらず、受信機能がある場合は契約が必要です。
受信機能の把握と契約の実施
車両にテレビ受信機能があることが確認された場合、速やかにNHKとの受信契約を結ぶ必要があります。受信契約は、1台1契約が基本であり、複数の車両にテレビ機能があれば、それぞれに契約が必要です。
特に自治体や大規模な企業では車両が多数存在する場合が多いため、管理体制を整備し、契約漏れを防止する必要があります。万が一、未払いが発覚した場合の対応策についても十分に考慮する必要があるでしょう。
事業所割引の活用
事業所では「設置場所ごと」に受信料を払う必要がありますが、すべての受信契約を結ぶと、受信料がほぼ半額（正確には2契約目以降が半額）になる「事業所割引」を受けられます。
NHKによると、タクシー会社などでもこの仕組みは利用できるとのことです。多数の車両を所有する企業は、この割引制度を活用することで、受信料の負担を軽減できる可能性があります。
まとめ：カーナビのNHK受信料、支払い義務の判断基準
カーナビのNHK受信料について、この記事でご紹介した内容をまとめます。
-
カーナビにテレビ機能（地上デジタル放送のフルセグ/ワンセグ）が搭載されている場合、実際に視聴しなくても物理的に受信可能な状態であれば契約が必要
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すでに世帯でNHKと契約している場合は、自家用車のカーナビ個別での契約は不要
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B-CASカード未挿入、ワンセグ用アンテナ未接続、地デジチューナー非搭載の場合は契約義務が免除される
-
ディスプレイオーディオはチューナーが内蔵されておらずテレビ機能がないため、NHKとの契約義務は生じない
-
ディスプレイオーディオに外付けテレビチューナーを後付けした場合は契約義務が発生する
-
事業所や自治体が所有する社用車・公用車の場合、テレビ機能付きカーナビを搭載した車両は1台ごとに契約が必要
NHK受信料の支払い義務については、最高裁判所や東京地方裁判所の判決により、テレビ機能を持つカーナビは「協会の放送を受信することのできる受信設備」に該当するという法的解釈が確立されています。
個人の方も、企業や自治体の車両管理担当者も、カーナビのテレビ機能の有無を確認し、適切に対応することが重要です。テレビ機能が不要であれば、機能がないモデルを選ぶことで、NHK受信料の心配をせずに済むでしょう。
最後に、NHK受信料の制度は放送法に基づいており、公共放送の財源を確保するための仕組みです。適切な理解と対応を心がけましょう。
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