ポルシェの一番高い車は911じゃない？知られざる真実

ポルシェ911ターボSカブリオレの外観

ポルシェ911の神話と現実

ポルシェと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは911だろう。1963年の誕生から60年以上、その血統が途絶えることなく進化を続けてきた伝説的スポーツカーだ。「最新のポルシェは最良のポルシェ」という格言さえ生まれるほど、時代の変化に抗いながらも適応してきた歴史そのものである。

しかし、ポルシェのウェブサイトを見ると、実に75種類ものラインナップが並んでいる。その中で価格的に最上位に君臨するのが「911 ターボ S カブリオレ」だ。車両本体価格はなんと3235万円。

「ターボ」や「GT」、「RS」といったモデルは、日本のポルシェマニアの間では「役付き」と呼ばれている。役付きとは一般的には管理職を指すが、麻雀や相撲における上位を表す意味もあり、そこから発展した通称かもしれない。

ともかく、現在最高額のポルシェは「911」であり「ターボ」であり「S」であり「カブリオレ」でもある。麻雀に例えるなら「大三元・四暗刻・字一色」のような、最高峰の組み合わせだ。

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911の特異性 – 唯一無二のエンジンレイアウト

911は現代のクルマの中で唯一、リアエンジン・リアドライブの基本構成を守り続けている。「911 ターボ」はその高性能バージョンとして1975年に登場した。

車体後方に重いエンジンを置き、後輪を駆動する方式は、260ps/35.0kgmという当時としては大きなパワーを制御するのに適していた。これはポルシェの主張が形になったものだ。

リアエンジンを搭載した911を初めて運転すると、その独特の挙動に驚くだろう。加速時には後輪にしっかりと荷重がかかり、驚異的なトラクションを生み出す。

一方で、かつては高速コーナリング時にオーバーステアを起こしやすいという特性もあった。しかし、現代の911はこの特性を最小限に抑えながらも、リアエンジンならではの魅力を残している。

なぜポルシェはこだわり続けるのか？それは911の基本構成が持つ優秀さにある。軽量コンパクトで堅牢に作られ、空気抵抗が少なく、信頼性も高いという特徴だ。

レースでの圧倒的実績が証明する強さ

911の優位性は、レース実績が如実に物語っている。ル・マン24時間レースでは108回ものクラス優勝を飾り、総合優勝も最多の19回を記録している。

また、過酷さで知られるニュルブルクリンク24時間レースでは13回の総合優勝という輝かしい実績を持つ。これらの数字が、911の設計思想の正しさを証明している。

空冷エンジンを搭載していた初期の911から、水冷式の水平対向6気筒エンジンへと進化した現代の911まで、その走りの哲学は一貫している。

「空冷サウンド」と形容される独特の乾いたエンジン音は、かつての911の大きな魅力だった。996型から水冷式に変わったことで音色は変化したが、それでも911特有の水平対向エンジンサウンドは健在だ。

空冷エンジンを搭載した911がいまだに熱狂的に支持される理由のひとつとして、この「空冷サウンド」が大きく関係していることは間違いない。

最高峰「911 ターボ S カブリオレ」の凄まじい実力

現行の911ラインナップの頂点に立つ「911 ターボ S カブリオレ」。3235万円という価格は、普通のカレラ2台分を軽く超える。

その性能は価格に見合うものなのか？答えは明確にイエスだ。現代の911 ターボ Sは、かつての初期モデルの260psから大幅に進化し、650馬力もの最高出力を誇る。

最高速度も初期モデルの200km/h弱から300km/hオーバーへと大幅に向上している。しかも、その驚異的なパワーを、誰でも安全に操れるよう洗練されたシャシーとエレクトロニクスで制御している。

どうだろう？こんな凄まじい進化を遂げながらも、60年以上前のDNAを色濃く残している車が他にあるだろうか？

911 ターボ S カブリオレは、ポルシェの技術の粋を集めた最高峰モデルとして、その存在感を示し続けている。

ポルシェマニアの間で高まる希少モデルの価値

日本では「ナローポルシェ」という名で親しまれている初代911。昨今、このナローポルシェの人気が高まり、相場は上昇の一途をたどっている。

年式を問わず、よほどコンディションやオリジナル度合いを妥協しない限り、1,000万円以下の個体を探すのは困難だ。高性能バージョンである「911S」は軒並み2000万円以上、「ナナサンカレラ」ことカレラRS2.7にいたっては7000万円以上と、コレクターズアイテムとなった感がある。

また、964型911にも多彩なバリエーションが存在する。カレラ2、カレラ4の基本モデルに加え、RS、RS-Touring、RS-America、RS-Racing（RSR）、RS 3.8、RS-Racing 3.8（RSR 3.8）、CUP、C4-Lightweightなど、知る人ぞ知る希少モデルが存在する。

中でも「C4ライトウエイト（1,100kg）」は超激レア＆超速モデルで、964 NAモデルの頂点に位置する至宝車だ。