クラウンの内装が安っぽい？不評の理由と実車評価
「いつかはクラウン」と言われた時代から、トヨタの高級車ブランドとして日本の自動車市場を牽引してきたクラウン。2022年に登場した新型クラウンは、従来のセダンスタイルから大きく路線変更し、クロスオーバーSUVスタイルを採用しました。
この大胆な変更に、従来のクラウンファンからは「クラウンらしくない」「内装が安っぽい」という声が上がっています。特にクラウンスポーツやクラウンクロスオーバーの内装に対しては「高級感が足りない」という評価も。
でも、本当に新型クラウンの内装は「安っぽい」のでしょうか？
この記事では、新型クラウンの内装デザインについて多角的に検証し、不評の理由や実際の評価、改善方法までを徹底解説します。クラウン購入を検討している方はもちろん、日本の高級車の動向に興味がある方にも参考になる内容です。
新型クラウンの内装が「安っぽい」と言われる理由
新型クラウンの内装が「安っぽい」と評価される背景には、いくつかの明確な理由があります。従来のクラウンと比較して何が変わったのか、具体的に見ていきましょう。
新型クラウン（スポーツ）のコックピット。包まれ感のあるデザイン
プラスチック素材の多用
新型クラウン、特にクラウンスポーツやクロスオーバーモデルで最も指摘されているのが、内装におけるプラスチック素材の多用です。ドアパネルやセンターコンソール周りに硬質プラスチックが使われており、触った時の質感が従来のクラウンと比べて大きく異なります。
従来のクラウンでは、ウッドパネルやアルミニウム調の加飾が施され、視覚的にも触覚的にも高級感を演出していました。しかし、新型モデルではシンプルでモダンなデザインを追求した結果、以前のモデルに比べて高級感が薄れたと感じる人が増えているのです。
シート素材の変化
シートの素材も評価が分かれるポイントです。クラウンスポーツやクロスオーバーの標準グレードでは、一部で合成皮革が使用されています。高級車として知られるクラウンに乗る人の中には、「価格の割に質感が低い」と感じる人もいるようです。
上位グレードでは本革シートが採用されていますが、標準グレードとの差が大きいため、グレードによる質感の違いが際立っています。この違いが、特に高級感を重視するユーザーにとって「質感が低い」と感じられる原因になっています。
デザインコンセプトの大転換
新型クラウンは、デザインコンセプト自体が大きく変わりました。従来の「重厚で落ち着いた高級感」から、「モダンでスポーティな印象」へと舵を切ったのです。
この変化により、内装デザインも大きく変わりました。シンプルで機能的なデザインは現代的ではありますが、クラウンに求められてきた「高級感」「重厚感」とは異なる方向性です。長年クラウンを愛用してきたユーザーにとっては、この変化が「クラウンらしくない」「安っぽく感じる」という評価につながっているのでしょう。
従来モデルとの違い：何が変わったのか
新型クラウンの内装が「安っぽい」と感じられる背景には、従来モデルとの明確な違いがあります。具体的に何が変わったのか、詳しく見ていきましょう。
従来型クラウンと新型クラウンの内装比較
内装デザインの方向性
従来のクラウンは、落ち着いた色調と豪華な素材使いが特徴でした。ウッドパネルや本革を贅沢に使用し、「役員車」としての品格を感じさせるデザインです。対して新型クラウンは、スポーティさとモダンさを強調したデザインへと変化しました。
特にクラウンクロスオーバーやスポーツモデルでは、シンプルでスッキリとしたデザインが採用されています。これは現代的な印象を与える一方で、従来のクラウンが持っていた「特別感」が薄れたと感じるユーザーも多いようです。
素材選びの違い
素材選びにも大きな違いがあります。従来モデルでは、触れる部分のほとんどに本革や高級感のある素材を使用していました。ドアアームレストやセンターコンソールなど、手が触れる部分の質感にこだわりがあったのです。
新型モデルでは、特に標準グレードにおいて、プラスチック素材の使用範囲が広がっています。これは軽量化や製造コスト削減の観点からの選択かもしれませんが、高級車としての質感に影響を与えています。
また、従来モデルで使われていた木目調のパネルやメタル調の加飾が減り、よりシンプルな内装となったことも、「高級感の低下」と感じられる要因の一つです。
操作系のデジタル化
操作系のデジタル化も大きな変化点です。従来のクラウンでは物理ボタンやダイヤルが多く使われていましたが、新型モデルではタッチスクリーンやタッチセンサー式のコントロールが増えています。
最新技術の導入は先進性を感じさせる一方で、物理的な操作感の減少は「安っぽさ」につながることもあります。高級車では、ボタンやダイヤルの操作感も重要な要素だからです。
このように、内装デザインの方向性、素材選び、操作系のデジタル化など、様々な面で従来モデルとの違いが生まれています。これらの変化が総合的に「安っぽい」という印象につながっているのでしょう。
クラウンスポーツの内装：本当に安っぽいのか
クラウンスポーツの内装に対しては「安っぽい」という評価が特に多く聞かれます。しかし、この評価は必ずしも全面的に当てはまるわけではありません。実際の内装を詳しく見ていきましょう。
クラウンスポーツの内装
素材使いの評価
クラウンスポーツの内装で最も議論になるのが素材の使い方です。確かに、ドアパネルやセンターコンソール周りにプラスチック素材が多用されています。特に手が触れる部分の一部に硬質プラスチックが使われているのは、高級車としては物足りなさを感じる点です。
しかし、すべてが低品質というわけではありません。上位グレードでは本革シートが採用され、ステアリングやシフトノブなど、頻繁に触れる部分には質感の高い素材が使われています。また、スポーツモデルとしての特性を考えると、耐久性や機能性を重視した素材選びという側面もあるでしょう。
デザインの評価
デザイン面では、クラウンスポーツはスポーティさとモダンさを強調しています。従来のクラウンのような重厚感はありませんが、スポーツセダンとしての一体感のあるコックピットデザインは評価できます。
特に、ドライバー中心の操作系レイアウトや、スポーティなステアリングデザインは、走りを楽しむドライバーにとっては魅力的な要素です。また、デジタルディスプレイの採用など、先進的な装備も充実しています。
「安っぽい」と感じるかどうかは、何を基準に評価するかによって大きく変わります。従来のクラウンのような豪華さを期待すると物足りないかもしれませんが、スポーティセダンとしての機能性や走行性能を重視する視点では、十分魅力的な内装と言えるでしょう。
クラウンクロスオーバーの内装：評価が分かれるポイント
クラウンクロスオーバーの内装についても、「ひどい」「安っぽい」との声が聞かれます。しかし、実際には評価が分かれるポイントがいくつかあります。客観的に見ていきましょう。
センターコンソールのデザインと素材
クラウンクロスオーバーのセンターコンソールは、シンプルで機能的な設計となっています。しかし、一部のユーザーからは「高級感がない」「トヨタの一般車と大差ない」といった批判が出ています。
確かに、プラスチック素材の使用が目立ち、従来のクラウンが持っていた高級感とは異なる印象を与えます。特に、操作パネル周りやセンターコンソールボックスの素材感は、価格帯を考えると物足りなさを感じる部分です。
一方で、「アイランドアーキテクチャー」と呼ばれる新しいデザインコンセプトは、機能的で使いやすいという評価もあります。操作系が使いやすく配置され、ドライバーの視線移動を最小限に抑える工夫は、実用面では優れています。
シートの質感と快適性
シートについても評価が分かれています。標準グレードでは合成皮革が使われていますが、上位グレードでは本革シートが採用されています。この違いは、乗り心地や質感に大きく影響します。
本革シート搭載モデルでは、座り心地の良さや質感の高さを評価する声が多いですが、合成皮革モデルでは「価格の割に質感が低い」という意見も見られます。
ただし、シートの形状や機能性については、長距離ドライブでも疲れにくい設計が評価されています。特に、ランバーサポートや電動調整機能など、実用的な機能は充実しています。
全体的な空間設計
クラウンクロスオーバーの室内空間は、従来のセダンタイプより広々としており、特に後席の居住性は向上しています。また、視界の良さや乗降性の高さは、SUVならではのメリットとして評価されています。
内装の質感だけでなく、使い勝手や快適性も含めて総合的に評価すると、クラウンクロスオーバーの内装は一概に「ひどい」とは言えません。従来のクラウンとは異なる方向性ではありますが、SUVとしての実用性と一定の質感を両立していると言えるでしょう。
内装の改善策：アップグレードで印象は変わるか
新型クラウンの内装に不満を感じるオーナーにとって、アフターマーケットでのアップグレードは有効な選択肢となります。特に注目されているのが、トヨタ純正のアップグレードサービス「KINTO FACTORY（キントファクトリー）」です。
クラウン内装のアップグレード例
KINTO FACTORYのアップグレードオプション
KINTO FACTORYでは、クラウンの内装をアップグレードするいくつかのオプションを提供しています。特に注目されているのが、センターコンソールやドアスイッチベースの素材変更サービスです。
このアップグレードでは、プラスチック素材部分をより高級感のある素材に変更できます。例えば、つやのあるダークグレーメタル仕上げを施すことで、プラスチック特有のチープな印象を軽減できます。また、インサイドドアハンドルをウォームサテンシルバー仕上げに変更することで、細部の質感を向上させることも可能です。
これらの変更は、約6万円という比較的手頃な価格で実施できるため、新車購入後に「内装が思っていたより安っぽい」と感じた場合でも、後から改善することができます。
アップグレードの効果
実際にアップグレードを施した車両では、見た目の印象がかなり変わるという評価が多いです。特に、手が触れる部分の質感が向上することで、乗車時の満足度が大きく変わります。
アップグレードによって得られるのは、単なる見た目の向上だけではありません。より質感の高い素材に触れることで、所有する満足度が向上し、運転中の気分も変わるでしょう。特に、クラウンのような高級車ブランドに乗るユーザーは、こうした細かなディテールにもこだわりを持つことが多いため、アップグレードの効果は大きいと言えます。
サードパーティ製アクセサリー
KINTO FACTORY以外にも、サードパーティのメーカーから様々な内装アップグレードパーツが販売されています。インテリアパネルの交換キットや、高級感のあるシートカバー、ステアリングカバーなど、選択肢は豊富です。
これらのアフターマーケットパーツを組み合わせることで、自分好みの内装にカスタマイズすることも可能です。ただし、品質や適合性については慎重に選ぶ必要があります。
このように、クラウンの内装に不満がある場合でも、適切なアップグレードを行うことで印象を大きく変えることができます。特に、頻繁に触れる部分の質感を向上させることで、日常の使用感が大きく改善されるでしょう。
市場評価と売れ行き：内装は販売に影響しているのか
新型クラウンの内装に対する評価は、実際の販売実績にどのような影響を与えているのでしょうか。市場データと専門家の分析から見えてくる実態を探ります。
新型クラウンのショールーム展示と来場者の様子
新型クラウンの販売状況
新型クラウンは発売当初、その斬新なデザインと話題性から注目を集め、一定の販売台数を記録しました。しかし、従来のセダンモデルと比較すると、特に長期的な販売実績では伸び悩みが見られます。
特に、クラウンスポーツモデルについては「売れていない」という声も聞かれます。これには内装の質感だけでなく、価格設定や市場のSUV志向など、複合的な要因が関係していると考えられます。
一方で、クラウンクロスオーバーは比較的好調な販売を維持しています。SUV人気が高まる中、クロスオーバータイプへの移行は一定の成功を収めていると言えるでしょう。
内装評価と購入決定の関係
購入を検討するユーザーにとって、内装の質感は重要な判断材料の一つです。特に高級車では、内装の質感や使用素材が購入決定に大きく影響します。
実際、ショールームでの商談時に「内装が期待していたより安っぽい」という理由で購入を見送るケースも報告されています。特に、従来のクラウンからの乗り換えを検討していたユーザーの中には、内装の変化に失望して他ブランドに流れるケースもあるようです。
ただし、新規顧客層、特に若年層やSUV志向の強いユーザーにとっては、新型クラウンの内装デザインは受け入れられているようです。従来のクラウンに対するイメージや期待値が低いため、「安っぽい」という印象を持ちにくいのかもしれません。
競合車との比較における位置づけ
新型クラウンの価格帯（500万円台から700万円台）では、国内外の高級ブランドと競合します。この価格帯の競合車と内装の質感を比較すると、特に輸入車と比べて見劣りする部分があるという指摘もあります。
例えば、同価格帯のメルセデス・ベンツやBMWの内装は、素材の質感や細部の作り込みにおいて高い評価を得ています。この差が、一部のユーザーにとって「クラウンの内装は価格の割に安っぽい」という印象につながっているのでしょう。
結論として、内装の評価は確かに販売に一定の影響を与えていると考えられますが、それだけが販売不振の原因ではありません。市場のSUV志向や価格設定、ブランドイメージの変化など、複合的な要因が絡み合っていると言えるでしょう。
クラウンとレクサスの違い：客層と内装の関係
クラウンとレクサスは、どちらもトヨタが展開する高級車ブランドですが、ターゲットとする客層や内装の作り込みには明確な違いがあります。この違いを理解することで、クラウンの内装に対する評価をより深く考察できるでしょう。
クラウンとレクサスの内装比較
クラウンの主要客層
クラウンの主な客層は、40代以上のビジネスパーソンや役員クラスのユーザーが中心です。特に、落ち着いたデザインや快適な乗り心地を求める層に支持されており、法人用途としての採用も多いのが特徴です。
従来のクラウンユーザーは、「高級感」「重厚感」「信頼性」を重視する傾向がありました。そのため、新型クラウンのデザイン変更や内装の質感変化に対して、特に敏感に反応しているのです。
一方で、新型クラウンはより若年層にもアピールするデザインを採用しており、スポーティなモデルやクロスオーバータイプの導入によって、これまでのクラウンとは異なる客層を取り込もうとしています。
レクサスの客層と内装の違い
レクサスは「トヨタのプレミアムブランド」として確立されており、よりラグジュアリーな体験を提供することを目的としています。レクサスのオーナーは、クラウンよりも高価格帯の車を求める層が多く、特に「ブランドイメージ」にこだわる人が多い傾向にあります。
内装面では、レクサスはより徹底した高級感の追求が見られます。素材の選定から縫製、組み立てに至るまで、細部へのこだわりが強く、同価格帯のクラウンと比較しても、より豪華な内装となっています。
例えば、レクサスでは本革やセミアニリン革、本木目パネルなどの高級素材が標準で使用されることが多く、触れる部分のほとんどが高品質な素材で覆われています。また、静粛性や振動対策にもより多くのコストをかけており、乗車時の高級感を高めています。
内装に対する期待値の違い
クラウンとレクサスでは、ユーザーが内装に求める期待値も異なります。クラウンユーザーは「国産高級車としての質感」を求める一方、レクサスユーザーは「グローバルラグジュアリーブランドとしての質感」を期待しています。
この期待値の違いが、クラウンの内装評価にも影響しているのでしょう。クラウンの価格帯が上昇するにつれて、ユーザーの期待値も高まり、内装の質感に対する要求も厳しくなっています。
結論として、クラウンとレクサスは異なる客層にアプローチしており、それぞれの内装デザインもターゲット層に合わせた作り込みとなっています。クラウンは「実用性と高級感を兼ね備えた日本市場向けの高級車」、レクサスは「世界市場で戦うプレミアムブランド」として、それぞれ異なる価値を提供しているのです。
新型クラウンの内装は本当に「安っぽい」のか：総括
ここまで新型クラウンの内装について多角的に検証してきました。最後に、「新型クラウンの内装は本当に安っぽいのか」という問いに対する総括を行いましょう。
新型クラウンの内装の質感
評価は視点によって大きく異なる
新型クラウンの内装が「安っぽい」かどうかは、何を基準に評価するかによって大きく異なります。従来のクラウンが持っていた「重厚で落ち着いた高級感」を期待すると、確かに新型モデルは物足りなく感じるでしょう。特にプラスチック素材の多用や、シンプル化されたデザインは、従来の高級感とは異なる方向性です。
一方で、「モダンでスポーティな高級車」という新しい視点で見れば、新型クラウンの内装は一定の評価ができます。特に、操作性や機能性、デジタル技術の統合などは現代的なニーズに応えています。
また、グレードによっても評価は大きく異なります。上位グレードでは本革シートや高級素材が使われており、標準グレードと比べて明らかに質感が向上しています。
価格帯から見た評価
新型クラウンの価格帯（500万円台から700万円台）で考えると、特に内装の質感については競合車と比較して物足りない部分があるのは事実です。同価格帯の輸入高級車と比べると、素材の質感や細部の作り込みで見劣りする部分があります。
ただし、価格には内装の質感だけでなく、信頼性や維持費、燃費性能なども含まれています。トータルバランスで考えれば、新型クラウンは依然として魅力的な選択肢と言えるでしょう。
改善の可能性
新型クラウンの内装に不満を感じる場合でも、KINTO FACTORYなどのアップグレードサービスを利用することで、質感を向上させることが可能です。約6万円という比較的手頃な価格で、内装の印象を大きく変えることができるのは魅力的なオプションです。
また、今後のマイナーチェンジや次期モデルでは、こうしたユーザーからのフィードバックが反映される可能性もあります。トヨタは顧客の声に敏感なメーカーであり、市場の反応を無視することはないでしょう。
最終的な評価
総合的に見て、新型クラウンの内装が「安っぽい」という評価は、従来のクラウンユーザーや高級車に対する特定の期待を持つ層からの視点では理解できます。特にプラスチック素材の多用や、従来モデルとの大きな方向性の違いは、不満につながりやすい要素です。
しかし、新しいデザイン方向性や機能性、使い勝手を重視する視点では、新型クラウンの内装は十分な魅力を持っています。また、アップグレードオプションを活用することで、個人の好みに合わせた質感の向上も可能です。
結論として、新型クラウンの内装は「安っぽい」というよりも、「従来のクラウンとは異なる方向性を持つ内装」と評価するのが適切でしょう。その評価は個人の価値観や期待によって大きく変わるものであり、一概に良い悪いと断じることはできません。
新型クラウン購入を検討している方は、ぜひショールームで実際に触れて、自分自身の基準で評価してみることをおすすめします。
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