ランデブー｜夢の名車ポルシェ930ターボが現実に─月額4万円から始まる高級車の共同所有サービスとは｜RENDEZ-VOUS
ランデブーの共同所有サービスで用意されている、写真右側の「フェラーリ365GT4/BB」と写真左側の「デロリアンDMC‑12」
空冷ポルシェの代名詞とも言われる930ターボ。その独特のシルエットと圧倒的な走行性能は、多くの自動車愛好家を魅了してきました。しかし、その希少性と高騰する価格から、多くの人にとって「永遠の憧れ」でしかありませんでした。
そんな「手の届かない夢」を現実に変えようとしているのが、ベンチャー企業「RENDEZ-VOUS（ランデブー）」です。彼らが提供する高級車の共同所有サービスは、月額わずか4万円台からポルシェ930ターボなどの名車に乗れるという革新的なモデルで注目を集めています。
本記事では、特に話題となっている「ポルシェ930ターボ国内第一号車のレストアプロジェクト」を中心に、このサービスの全容と可能性について徹底解説します。クラシックカーを愛する人、高級車に憧れる人、そして新しい所有の形に興味がある人必見の内容です。
幻の国内第一号車──20年の眠りから目覚めた930ターボの物語
レストア前の埃を被ったポルシェ930ターボの状態
ランデブーが手掛けたプロジェクトの主役は、熊本県のガレージで20年以上も放置されていたポルシェ930ターボです。この車両が発見された時、長い年月の埃を被り、忘れ去られた存在となっていました。しかし、車体番号「9305700051」の調査から、この車両の真の価値が明らかになりました。
この車両は1975年に製造された930ターボの51番目の個体であり、当時のポルシェ輸入元であるミツワ自動車によって販売された、日本国内第一号車だったのです。930ターボ3.0は1975年から1978年のわずか3年間しか製造されておらず、特に1975年式は世界でも約280台という極めて希少なモデルです。
日本の自動車史においても重要な意味を持つこの車両を前に、ランデブーは「この車両を国内に残したい」「整備、レストアの重要性と意義を伝えたい」「文化的価値のある車両を次世代に受け継いでいきたい」という思いを強くしました。この思いが、後の革新的なプロジェクトへと発展していくことになります。
放置された名車の発見と歴史的価値
熊本県のガレージで発見されたこの930ターボは、一見すると単なる古いポルシェでしかありませんでした。しかし、車体番号から判明したその正体は、日本のポルシェ史に残る重要な一台だったのです。
1975年製造の930ターボは、ポルシェが初めて本格的なターボチャージャーを搭載した市販モデルとして歴史的意義を持ちます。3.0リッターの水平対向6気筒エンジンに大型のKKKターボを組み合わせた革新的なパワーユニットは、当時としては驚異的な260馬力を発揮し、「ヴィドヴァメーカー（未亡人製造機）」とも呼ばれる扱いの難しさも持ち合わせていました。
特に1975年の初期モデルは、後のモデルと比較しても純粋で原初的な魅力を持ち、コレクターの間でも極めて高い評価を受けています。そんな希少車が日本の片隅で眠り続けていたという事実は、自動車ファンにとって衝撃的な発見でした。
革新的な共同所有モデル──クラウドファンディングからサブスクリプションへ
この貴重な930ターボを救い出すために、ランデブーは従来の自動車ビジネスにはない斬新なアプローチを選びました。彼らは自動車イベント「オートモビルカウンシル」にホコリを被ったままの状態の車両を展示し、車両価格とレストア費用を分担してくれる共同オーナーを公募したのです。
この呼びかけに応じた多くの応募者の中から、慎重な選考を経て4名の共同オーナーが選ばれました。各オーナーは約600万円の費用を負担し、この歴史的な車両のレストアプロジェクトに参加することになりました。これは単なる資金調達ではなく、クラシックカーの価値と魅力を共有するコミュニティづくりでもありました。
この成功体験をもとに、ランデブーは現在、より手軽に参加できる月額制の共同所有サービスへとビジネスモデルを発展させています。例えば、車両価格1300万円の1986年式ポルシェ911（930）3.2カレラを6人で共同所有した場合、保険料、メンテナンス費用、駐車場代込みで月額4万4000円で年間48日利用できるというプランが提供されています。
従来の所有概念を覆す経済合理性
この共同所有モデルの最大の魅力は、その経済合理性にあります。同じクラスのクラシックポルシェを1人で所有した場合、車両価格に加えて維持費だけでも月額約11万円が必要になることを考えると、月額4万円台で同等の体験ができることの価値は計り知れません。
特に、クラシックカーは年間走行距離が限られることが多く、多くのオーナーが「所有しているが、あまり乗れていない」という状況に陥りがちです。共同所有モデルでは、年間48日という使用日数が設定されていますが、これは多くのクラシックカーオーナーの実際の使用頻度と比較しても遜色のない数字です。
また、クラシックカー特有の整備や修理の不安も、専門家による一元管理によって軽減されます。突然の故障や予期せぬ出費のリスクを分散できることも、このモデルの大きなメリットです。
匠の技が蘇らせた伝説──99％オリジナルを守り抜いたレストア
930ターボ国内第一号車のレストア作業は、単なる修理や再生ではなく、歴史的価値を持つ文化財の修復に近い精度と哲学で行われました。その作業を担ったのは、静岡県御殿場市にあるガレージ「ポルテック」です。
ポルテックは元ミツワ自動車の富士小山デポを事業継承した会社であり、クラシックポルシェに精通した元ミツワの整備士たちが在籍しています。彼らは930ターボが新車だった時代からポルシェと向き合ってきたエキスパートであり、この車両の価値を最大限に引き出せる最適な選択でした。
レストア作業の基本方針は「オリジナリティの尊重」。エンジンなどの機関系は安全性と信頼性を確保するために純正部品を使って徹底的に整備されましたが、外観については、あえてリペイントを行わず、旧オーナーが走行した際についた傷や汚れもそのままに、当時の姿に復元されました。
オリジナリティを守る繊細な技術
インテリアも同様の哲学で蘇らされました。発見時にはカビだらけだった室内は丁寧に清掃され、カーペットやシート表皮なども張り替えることなく、クリーニング後にオリジナルのものを活かす方法が選ばれました。
ポルテックの担当者によれば、このレストア作業によって車両の99％のオリジナル状態を維持することができたとのことです。残りの1％は劣化がひどかったサンバイザーで、純正部品が入手できなかったため、骨組みを活かして再現する工夫が施されました。
このような徹底したオリジナリティへのこだわりは、単なるノスタルジーではなく、この車両の歴史的価値と市場価値を最大化するための戦略的な選択でもありました。近年のクラシックカー市場では、レストア状態よりもオリジナル状態が高く評価される傾向があり、特に希少モデルにおいてはその傾向が顕著です。
レストア完了後の930ターボは、機械的な信頼性と当時の雰囲気を両立させた姿で蘇り、共同オーナーたちの元で新たな歴史を刻み始めることになりました。
月額4万円から始まる高級車ライフ──ランデブーの共同所有サービスの実態
930ターボのレストアプロジェクトの成功を受けて、ランデブーは現在、より多くの人がクラシックカーの魅力を体験できる月額制の共同所有サービスを本格展開しています。このサービスは、従来の所有形態とレンタルの中間に位置する新しいモビリティの選択肢として注目を集めています。
現在提供されているプランの一例として、車両価格1300万円の1986年式ポルシェ911（930）3.2カレラを6人で共同所有するケースがあります。このプランでは、保険料、メンテナンス費用、駐車場代などすべての維持費を含めて月額4万4000円で、年間48日の利用が可能です。これは単純計算で月に4日程度、週に1日の利用ができる計算になります。
シェアリングエコノミーがもたらす新しい選択肢
このサービスの最大の特徴は、利用期間が1年間に設定されている点です。これにより、古いクルマに不安がある人や、様々なモデルに乗り換えながら経験を積みたい人のニーズにも応えることができます。1年間という期間は、季節ごとの走りを楽しむのに十分な長さであると同時に、飽きが来る前に次の車両に移行できるバランスの取れた設定と言えるでしょう。
また、共同所有者同士のコミュニティ形成も、このサービスの魅力の一つです。同じ車両を共有する仲間との交流は、単なる「乗り物」としての自動車の枠を超えた豊かな体験を提供します。オーナー同士のオフ会や情報交換の場が自然と生まれ、クラシックカー文化の新たな広がりを生み出しています。
サービス利用の実際──申し込みから利用までの流れ
ポルシェ共同所有サービスの利用者たち
ランデブーの共同所有サービスの利用を希望する場合、まずは同社のホームページから登録フォームに希望の車種や予算などを入力することから始まります。しかし、サービス開始以来、想定以上の反響があり、現在は多くの車種でウェイティングリストに登録する形となっています。
申し込み後は、同社のスタッフによる審査があり、共同所有者としての適性や利用目的などが確認されます。この審査は、単なる資金力の確認ではなく、クラシックカーへの理解や愛情、他の共同オーナーとの相性なども考慮した総合的な判断が行われます。
審査通過後は契約締結となり、利用スケジュールの調整が行われます。共同オーナー間での利用日の調整は、専用のアプリを通じて行われ、公平性を保ちながら柔軟な利用が可能となっています。
拡大するサービス拠点
現在、ランデブーの拠点は横浜市のガレージが中心となっていますが、需要の増加に応えて神奈川県川崎市の二子新地に2拠点目を開設する予定だとしています。この拡大により、より多くの車種の取り扱いと、より便利なピックアップ・返却場所の提供が期待されています。
また、地方在住者向けのサービスとして、指定の場所への車両配送サービスも検討されているとのことです。これにより、都市部に住んでいない愛好家も、このサービスを利用できる可能性が広がっています。
利用期間中のサポート体制も充実しており、万が一のトラブル時には24時間対応のサポートデスクが設置されています。クラシックカー特有の不安要素を最小限に抑え、安心して楽しめる環境が整えられています。
投資としての側面──クラシックカー市場の可能性
神奈川県の横浜・羽沢にあるガレージの様子。
ランデブーの共同所有サービスは、単なる趣味や体験としての側面だけでなく、投資としての可能性も秘めています。特に、レストアされた930ターボ国内第一号車のような希少車は、時間の経過とともに価値が上昇する可能性が高いとされています。
実際、レストアプロジェクトに参加した4人の共同オーナーは、1年間の共同所有期間を経た後、この車両を日本国内に残すことを前提に売却する予定とのことです。その際、4人のオーナーには購入の優先権が与えられており、投資としてのリターンも期待できる仕組みとなっています。
空冷ポルシェ市場の動向
近年のクラシックカー市場、特に空冷エンジンを搭載したポルシェ911シリーズは世界的に高い評価を受けており、良好な状態の個体は年々価格が上昇する傾向にあります。特に930ターボのような希少モデルは、その傾向が顕著です。
例えば、同様の1975年式930ターボの良好な個体は、海外のオークションでは数千万円の価格で取引されることもあります。特に、今回のような国内第一号車という歴史的価値を持つ個体は、さらに高い評価を受ける可能性があります。
ランデブーの共同所有モデルは、このような市場動向を背景に、「体験」と「投資」の両面から価値を提供する新しいアプローチとして注目されています。特に、単独では高額なクラシックカー投資に参入できない層にとって、少額から参加できる新たな投資機会を提供している点は革新的です。
文化遺産としてのクラシックカー──次世代への継承
ポルシェ930ターボのコックピットとダッシュボード
ランデブーが930ターボのレストアプロジェクトで掲げた「この車両を国内に残したい」「文化的価値のある車両を次世代に受け継いでいきたい」という理念は、単なるビジネスの枠を超えた文化的な意義を持っています。
クラシックカー、特に930ターボのような革新的なモデルは、単なる「古い車」ではなく、自動車技術の発展史を物語る重要な文化遺産でもあります。そのような価値ある車両を適切に保存し、次世代に引き継いでいくことは、自動車文化の継承という社会的な意義を持つ活動です。
サステナブルな自動車文化の形成
また、共同所有という形態は、限られた資源を有効活用するサステナブルな消費形態としても注目されています。一台の車両を複数人で共有することで、資源の有効活用と環境負荷の低減にもつながります。
特に、新車の製造には多くの資源とエネルギーが必要であることを考えると、既存の名車を適切に維持・管理しながら長く使い続けることは、環境面からも理にかなったアプローチと言えるでしょう。
ランデブーの取り組みは、「所有」から「共有」へというシェアリングエコノミーの潮流と、文化的価値のある自動車を保存するという保存活動の両面を併せ持つ、時代に即した新しい自動車文化の形を提示しています。
まとめ──夢のカーライフを現実にする新たな選択肢
サービスで提供される車両が並ぶ
ベンチャー企業「RENDEZ-VOUS（ランデブー）」が提供する高級車の共同所有サービスは、従来の「所有か、諦めるか」という二択を超えた、新たな選択肢を私たちに提供しています。
月額4万円台からポルシェ930ターボなどの名車に乗れるという革新的なモデルは、多くの自動車愛好家の夢を現実のものとしました。特に、国内第一号車のレストアプロジェクトは、単なるビジネスを超えた文化的意義を持つ取り組みとして高く評価されています。
このサービスの魅力は、経済的な合理性だけではありません。同じ車両を共有する仲間とのコミュニティ形成や、様々なモデルを体験できる柔軟性、そして時には投資としてのリターンも期待できる多面的な価値提供が、多くの人々の心を掴んでいます。
クラシックカーを愛好することは、単なる趣味の領域を超えて、文化遺産を後世に引き継ぐという社会的な意義も持ちます。ランデブーの取り組みを通じて、より多くの人々がクラシックカーの魅力に触れ、この文化が広く継承されていくことを期待したいと思います。
あなたも月額4万円から始まる夢のカーライフを体験してみませんか？憧れの名車があなたを待っています。
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