”クラウンスポーツ人気ない”その理由とは？販売低迷の真相を徹底解説
クラウンスポーツの外観
クラウンスポーツの人気低迷は本当か？販売状況の実態
トヨタの高級SUVとして2023年11月に登場したクラウンスポーツ。発売当初は大きな注目を集めたものの、最近では「クラウンスポーツは人気がない」「売れ行きが悪い」といった声をよく耳にします。
実際のところ、クラウンスポーツの販売状況はどうなっているのでしょうか？
2023年11月の発売から2024年前半にかけては月間3,000台以上の登録があったクラウンスポーツですが、2024年後半に入ると販売台数は減少傾向を見せています。この数字だけを見れば、確かに「人気がない」と言われても仕方ないかもしれません。
でも、なぜクラウンスポーツは期待されたほど売れていないのでしょうか？
そこには「価格設定」「ターゲット層とのミスマッチ」「競合車種の存在」など、複数の要因が絡み合っています。この記事では、クラウンスポーツが人気を得られていない理由を多角的に分析し、今後の展望までを徹底解説していきます。
クラウンスポーツが人気ない理由①：高すぎる価格設定
クラウンスポーツが苦戦している最大の理由は、その価格設定にあります。ハイブリッドモデルの「SPORT Z」は590万円から、PHEVモデルの「SPORT RS」に至っては765万円からという高額な価格設定は、多くの消費者にとって大きな障壁となっています。
一般的なSUVと比較してかなり高額であり、この価格帯になると、メルセデス・ベンツのGLCやBMWのX3といった欧州の高級SUVと競合することになります。
クラウンスポーツと競合車種の価格比較
ブランド力の差を考慮すると、クラウンスポーツの価格は消費者にとってやや割高に感じられる可能性が高いです。「この価格なら輸入車を選ぶ」という消費者心理が働くのも無理はありません。
また、同じトヨタ車でも、ハリアー（299万円～504万円）と比較すると、クラウンスポーツのエントリーモデルでも100万円近い差があります。さらに、レクサスNX（494万円～）と比べても高額で、「この価格ならレクサスを選ぶ」という選択肢も出てきます。
クラウンスポーツの高価格設定には、「クラウン」というプレミアムブランドの価値や先進技術の搭載が理由として挙げられますが、それが消費者に十分な価値として認識されていないことが、人気低迷の一因となっているようです。
クラウンスポーツが人気ない理由②：ターゲット層とのミスマッチ
クラウンスポーツは、従来のクラウンユーザーとは異なる新しいターゲット層を狙ったモデルとして設計されています。スポーティなデザインと走行性能で、30代から40代の比較的若い世代にアピールすることを目指していました。
しかし、実際の購入者の平均年齢は依然として50代以上が中心となっています。特に法人需要も一定数見られることから、クラウンの伝統的な購買層の影響が大きいことがわかります。
クラウンスポーツの購入者層イメージ
このターゲット層とのミスマッチが生じている理由としては、以下のような要因が考えられます。
-
若年層には価格が高すぎる
-
従来のクラウンユーザーにはデザインが斬新すぎる
-
スポーティなSUVを求める層には他の選択肢も多い
つまり、若年層には手が届きにくい価格設定である一方、従来のクラウンファンにとっては「クラウンらしくない」と感じられるデザインになっているという、両方の層にとって中途半端な位置づけになってしまっている可能性があります。
この「誰のための車なのか」という明確なターゲット設定の曖昧さが、クラウンスポーツの販売不振に繋がっていると考えられます。
クラウンスポーツが人気ない理由③：競合車種との厳しい戦い
クラウンスポーツの価格帯では、国内外の強力な競合車種との競争も激しくなります。特に同価格帯では、以下のような競合車種と比較されることになります。
-
メルセデス・ベンツ GLC（598万円～）
-
BMW X3（615万円～）
-
レクサス RX（678万円～）
これらの欧州高級SUVやレクサスと比較した場合、クラウンスポーツはブランド力で劣勢に立たされる可能性が高いです。特に「この価格を出すなら」という心理が働くと、長年の歴史と確立されたステータスを持つ輸入車やレクサスが選ばれる傾向があります。
高級SUV市場の競争状況
また、トヨタのラインナップ内でも、クラウンスポーツは他のSUVモデルと競合する状況にあります。例えば、ハリアーやレクサスNXといった車種と比較されることも多く、「なぜこの価格差でクラウンスポーツを選ぶのか」という疑問が生じやすいのです。
特に実用性の面では、後部座席の広さや荷室容量が同クラスのSUVと比較して必ずしも優れているわけではないため、高額な価格に見合った価値を見出せない消費者も少なくありません。
結果として、クラウンスポーツは高級SUV市場の中で独自のポジションを確立できていない状況にあり、これが販売不振の一因となっています。
クラウンスポーツが人気ない理由④：受注停止と納期の長期化
クラウンスポーツの人気に影響を与えたもう一つの要因が、2024年4月に発表された一時的な受注停止です。この受注停止の背景には、需要の急増に対する生産能力の問題や半導体不足などの部品調達の遅れがありました。
この受注停止によって、納車までの期間が大幅に長期化することになりました。発売当初は6～9カ月とされていた納期が、受注停止後には1年以上の待ち時間が発生したケースもあります。特にPHEVモデルである「SPORT RS」は人気が集中し、より長い納期を覚悟する必要がある状況でした。
長期の納期は、消費者の購買意欲を大きく削ぐ要因となります。「今すぐ欲しい」と思っていても、1年以上待たなければならないとなれば、他の選択肢を検討する人が増えるのは自然なことです。
自動車工場の生産ライン
また、受注停止の影響を受け、中古市場ではクラウンスポーツの流通が増加しました。新車の納車待ちが長引くと、一部の消費者は中古車を選択する傾向があるためです。その結果、中古車価格の変動が発生し、一時的に新車とほぼ変わらない価格で取引される場面も見られました。
このような供給の不安定さは、「クラウンスポーツは人気がない」という印象を強める一因となり、消費者の購入意欲をさらに低下させる悪循環を生み出してしまった可能性があります。
クラウンスポーツのデザイン評価：賛否両論の実態
クラウンスポーツのデザインに対する評価は、賛否両論が分かれています。特に「ダサい」といった否定的な意見も見られ、その理由としては従来のクラウンのイメージとは大きく異なるデザインが採用されたことが挙げられます。
これまでのクラウンは、「高級セダン」の象徴として、落ち着いたエレガントなデザインが特徴でした。しかし、クラウンスポーツはスポーティなSUVとして設計されており、大胆なフロントグリルやシャープなヘッドライトなど、従来のクラウンとは異なるアグレッシブなデザインが採用されています。
クラウンスポーツのデザイン特徴
「ハンマーヘッド」と呼ばれるフロントデザインに対しても意見が分かれています。これは、最近のトヨタ車に共通するデザイン言語ですが、一部のユーザーからは「未来的すぎる」「フロントが大きすぎてバランスが悪い」といった批判もあります。
一方で、「斬新でかっこいい」といった肯定的な意見もあるため、ターゲット層によって評価が大きく異なると言えるでしょう。
人気色については、「ブラック」「プレシャスホワイトパール」「エモーショナルレッドⅢ」が特に好まれています。これらのカラーは、クラウンスポーツのスポーティなデザインを引き立てるため、購入時に選ばれる傾向が強いです。
結局のところ、デザインの評価は主観的な要素が大きいため、「ダサい」と感じるか「かっこいい」と感じるかは個人の好みによる部分が多いです。ただし、市場全体の反応としては、従来のクラウンユーザーには不評な一方で、新しいデザインに魅力を感じる層も一定数存在するため、トヨタの狙い通り新規ユーザーを獲得できるかどうかが今後のポイントになるでしょう。
クラウンスポーツの静粛性と走行性能：期待と現実
クラウンスポーツの静粛性に関しては、ユーザーの間でも意見が分かれています。一部では「うるさい」との声も聞かれますが、これは何を基準にするかによって評価が異なります。
クラウンスポーツは、スポーティなSUVとして開発されているため、走行音を完全に抑えることよりも、エンジンのレスポンスや走行性能を重視している側面があります。そのため、高回転時のエンジン音が車内に伝わることがあり、これを「うるさい」と感じる人もいます。
特にロードノイズや風切り音についても、クラウンスポーツはクラウンクロスオーバーよりも低重心でスポーツ走行を意識した設計になっており、サスペンションの剛性も高められています。そのため、路面の影響を受けやすく、タイヤの転がる音（ロードノイズ）が大きめに感じられる可能性があります。
さらに、全幅1,880mmのワイドボディは空力性能を考慮したデザインとはいえ、高速走行時の風切り音は完全には防げません。特に、100km/hを超えるスピードでは、Aピラー周辺からの風切り音が気になるという口コミも見られます。
ただし、トヨタはクラウンスポーツの静粛性向上にも力を入れています。調音天井という特殊な構造を採用し、車内での音の反響をコントロールすることで、会話がしやすい環境を作り出しています。また、シートの素材やドアパネルの防音材の工夫により、エンジン音が直接伝わりにくい設計になっています。
結果として、クラウンスポーツの静粛性は「セダンと比べると少し劣るが、スポーティなSUVとしては標準以上」と言えるでしょう。高級SUVのような完全な静寂性を求める場合には物足りなさを感じるかもしれませんが、走行性能を考慮すれば許容範囲に収まるレベルと言えます。
クラウンスポーツの中古市場と残価率の実態
クラウンスポーツの中古市場での価値は、新車価格の高さや需要の変動によって左右されます。現時点では発売から日が浅いため、市場の動向はまだ流動的ですが、いくつかのポイントから残価率を考察していきます。
まず、クラウンスポーツの残価率（リセールバリュー）は、一般的なトヨタ車と比べるとやや高めに推移しています。これは「クラウン」というブランド力に加え、新型車という新鮮さが市場で評価されているためです。
中古車市場
2025年には、新車価格の65～75％の価格で取引されるケースが多いとされており、これは発売直後の車としては比較的良好な水準です。しかし、走行距離が1万kmを超えると価格が下がりやすく、特にPHEVモデルは充電性能の劣化や補助金の影響で値落ちしやすい傾向があります。
また、人気色もリセールバリューに影響を与えます。クラウンスポーツの場合、ブラック・ホワイト系が最も高いリセールバリューを維持しやすく、逆に個性的なカラーは需要が限定的で値下がりしやすい傾向にあります。
中古市場においては、生産台数の制限や受注停止といった要素も影響します。たとえば、新車の供給が不安定な場合、中古市場の価格が一時的に上昇することがあります。実際、クラウンスポーツの一部グレードでは納車待ちが長期化しているため、中古車価格が高止まりしているという現象も見られます。
今後の相場予測としては、新型クラウンシリーズの展開が進む中で、クラウンスポーツの立ち位置が明確にならないと価格の安定は難しいでしょう。特に、今後PHEVの新型モデルやEVモデルが投入された場合、ガソリン車や現行のPHEVの中古価値が低下する可能性があるため、購入時には慎重な判断が求められます。
クラウンスポーツの値引き交渉と購入のポイント
クラウンスポーツは、トヨタの高級SUVとして販売されているため、一般的な大衆車と比べて値引き額は少なめとされています。しかし、ディーラーとの交渉次第では値引きを引き出すことも可能です。
まず、クラウンスポーツの標準的な値引き額は5～10％程度と言われています。具体的には、ディーラー在庫車や展示車であれば10％に近い値引きが期待できることが多いですが、受注生産の場合は値引きが難しくなる傾向があります。
値引き交渉を行う際の重要なポイントは、「他の車と比較しながら交渉する」ことです。例えば、「レクサスNXと迷っている」「メルセデスのGLCも検討している」と伝えることで、競合車と比較されることを意識した価格調整を引き出しやすくなります。
また、オプション装備を交渉材料にするのも有効です。本体価格の大幅な値引きが難しい場合でも、オプションの無料追加やディスカウントを提案することで、実質的な値引きを得ることが可能です。特に、ナビゲーションシステムやETC、コーティングなどの付属品は値引き交渉しやすい部分です。
加えて、決算時期（3月・9月）やボーナス商戦（6月・12月）のタイミングで交渉するのも効果的です。販売店側は目標達成のために値引きを拡大することがあるため、この時期に商談を持ち込むことで有利な条件を引き出せる可能性があります。
これらのポイントを押さえつつ、上手に交渉を進めることで、クラウンスポーツをよりお得に購入することができるでしょう。
クラウンシリーズの中での位置づけと今後の展望
クラウンシリーズには、クラウンスポーツを含めて複数のバリエーションがありますが、その中で最も人気のあるモデルは「クラウンクロスオーバー」です。2022年9月に発売されたクラウンクロスオーバーは、セダンとSUVの要素を組み合わせた独自のデザインが特徴であり、発売当初から高い支持を得ています。
クラウンクロスオーバーが人気を集めている理由として、まず挙げられるのは価格帯のバランスの良さです。クラウンスポーツが最も安いグレードでも590万円なのに対し、クラウンクロスオーバーは比較的リーズナブルな価格帯からラインナップされており、多くのユーザーにとって選びやすいモデルとなっています。
さらに、クラウンクロスオーバーは、クラウンシリーズの中でも最も販売実績が高く、安定した供給が行われている点もポイントです。納期の面でも、クラウンスポーツと比較して短期間での納車が可能なため、「クラウンブランドのSUVが欲しいが、長く待ちたくない」という層に支持されています。
一方、クラウンスポーツの今後の展望としては、以下のような可能性が考えられます。
-
より手の届きやすい価格帯のグレード追加
-
生産体制の強化による納期の短縮
-
マイナーチェンジによるデザインの微調整
-
電動化モデルのさらなる拡充
特に価格面での見直しは、クラウンスポーツの販売を伸ばす上で重要なポイントとなるでしょう。現状では高すぎると感じる消費者が多いため、エントリーグレードの追加などで間口を広げる戦略が考えられます。
また、デザインについても、従来のクラウンファンにも受け入れられるような微調整が行われる可能性があります。あまりに斬新すぎるデザインは賛否両論を生みやすいため、より多くの層に受け入れられるバランスを模索することになるでしょう。
クラウンスポーツは、トヨタの挑戦的なモデルとして注目を集めましたが、市場での評価はまだ定まっていません。今後の展開次第では、再び注目を集める可能性も十分にあると言えるでしょう。
まとめ：クラウンスポーツの人気低迷と今後の可能性
”クラウンスポーツ人気ない”理由とは？販売低迷の真相を徹底解説
クラウンスポーツが「人気がない」と言われる背景には、高すぎる価格設定、ターゲット層とのミスマッチ、競合車種との厳しい競争、受注停止と納期の長期化など、複数の要因が絡み合っていることがわかりました。
特に590万円からという高額な価格設定は、同価格帯の欧州高級SUVやレクサスとの比較において、ブランド力の差を考慮すると大きなハンディキャップとなっています。また、従来のクラウンユーザーと新規ターゲット層の両方にとって中途半端な位置づけになってしまっている点も、販売不振の一因と言えるでしょう。
デザインや静粛性については賛否両論あり、個人の好みや使用環境によって評価が分かれる部分です。ただし、市場全体としては、従来のクラウンイメージとのギャップが大きすぎることが、一部のユーザーの心理的障壁になっている可能性があります。
今後のクラウンスポーツが人気を取り戻すためには、より手の届きやすい価格帯のグレード追加や、生産体制の強化による納期の短縮、デザインの微調整などが鍵となるでしょう。特に、「なぜクラウンスポーツを選ぶべきなのか」という明確な価値提案が重要です。
クラウンスポーツは、トヨタの挑戦的な取り組みとして評価すべき点も多いモデルです。今後の展開次第では、再評価される可能性も十分にあると言えるでしょう。購入を検討している方は、実際に試乗して自分のライフスタイルに合うかどうかを確かめることをおすすめします。
最後に、クラウンスポーツの購入を検討している方は、値引き交渉のポイントを押さえつつ、自分のニーズに合ったグレードや色を選ぶことで、満足度の高い選択ができるはずです。
クラウンスポーツの今後の動向に注目していきましょう。
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